フランス出張報告:OECD NEA WP-IDKMでの招待講演/ANDRAの地下研見学

Bonjour. Dr. Norkin岡村です。中瀬准教授、西原と共にフランス出張してきたので、その報告です。

今回の出張の目的は、OECD NEAの地層処分におけるデータ管理に関する専門家会議Working Party on Information, Data and Knowledge Management (WP-IDKM)での基調講演とフランスの地層処分事業者であるANDRAの地下研の見学です。

まず、WP-IDKMについて。WP-IDKMは、OECD NEAを中心として各国の地層処分におけるデータ管理等に関心のある事業者や研究機関が参加する専門家会議であり、以下の4つの作業部会が運営されています。

  1. 安全評価のためのデータおよび情報管理戦略に関する専門家グループ (EGSSC)
  2. 放射性廃棄物管理プログラムと廃炉のための知識管理に関する専門家グループ (EGKM)
  3. 放射性廃棄物管理活動のアーカイブに関する専門家グループ(EGAR)
  4. 処分場閉鎖後の意識維持に関する専門家グループ (EGAP)

今回はWP-IDKMの2年に1度の総会ということで、OECD NEAの本部でハイブリット形式で開催されました。

中瀬研は、この専門家会議のメンバーではありませんが、大変光栄なことに西原とDr. Norkinが中心になって進めているNEUChainプロジェクトを紹介してきました。タイトルは「Digital Twin Project for Innovative Nuclear Energy System Application to Radioactive Waste Management」です。

各国の専門家へのNEUChainプロジェクトの周知、さまざまなフィードバックをいただき、非常に充実した会議となりました。Dr. Norkinとしては、初めての基調講演、さらには国際機関での発表で、緊張もありましたが、なんとかやり遂げることができました。(なぜか、会議中の写真が全くないのは、中瀬准教授らも緊張していたからかもしれません。)

会議後は、OECD NEAのいつもお世話になっている邦人現地職員をはじめ、室谷次長と今後の研究プロジェクトなどについて議論を行いました。

次に、ANDRAの地下研の見学ですが、実は地下研の見学がメインではなく、フランスが先進的に進めているナショナルインベントリなどのデータ管理に関する知見を得るためにANDRAの視察を行いました。視察前には様々な交渉がありましたが、原環センターの協力もあり地下研を含めた視察が実現しました。

今回訪れたのが、ANDRAが高レベル廃棄物の埋設を計画しているムーズ、オート=マルヌ両県の県境近傍のビュールに位置するCigéoです。ここは、ANDRAが20年以上、研究開発を行なってきた地下研究所があり、その深さはなんと490m。原子力機構の幌延の地下研が300〜350mと考えると、その深さが際立ちます。ANDRAは現在、この地下研究所を実際の地層処分の適地と判断し、2023年に設置許可申請を政府に提出しています。詳しくはこちらをチェック。

今回の視察では、大変光栄なことに、我々の要望通り、ナショナルインベントリ、ノリッジマネージメント(地層処分のデータ管理)のスペシャリストが本部のパリからわざわざ出張していただいて対面で情報交換を行いました。

3時間におよび議論では、ANDRAと我々のアクティビティをぞれぞれに紹介し、より密な意見交換ができました。

その後、現地の食堂でランチ、安全教育を受講した後に地下490mの研究所を訪れました。地下では写真撮影ができませんでしたが、Cigéoは日本で想定されている岩盤とは異なり粘土質であり、日本の地下研とは少し異なる雰囲気でした。

地下工事もどんどん進められており、原子力大国フランスのプロジェクト実行力を実感する機会となりました。特に、人材の多様性は日本よりも非常に充実している印象で、例えば、工学、地質に関わる専門家だけではなく、文化人類学や教育などの社会科学分野でPh.Dを持っている人材を多く登用しています。それにより、科学的、文化的、社会的などの多面的なアプローチで事業を進められているようです。また、職員の年齢層が比較的若く、しっかりと世代交代ができているのも印象的でした。

ANDARAのナショナルインベントリやノリッジマネジメントについては、非常に優れたビジョンの下、継続的な開発を続けているのが印象的でした。我々が現在行なっているアクティビティも、方向性としては間違いないことを確認することができました。

総じて、非常に充実した視察・見学を行うことができました。ANDRAとは継続的に情報交換をしていく予定です。

OECD NEA WP-IDKMでの講演、ANDRA視察以外にも、日本原子力研究開発機構のパリ事務所訪問などを行い、様々な議論、経験を得られる機会となりました。今後も常に海外に目を向けて、積極的に国際舞台に出て、活躍していきたいと思っています!そんな国際的に活躍したい方はどうぞ、中瀬研のドアを叩いてみてください。

ではでは。


会議前の様子


OECD NEAの建物

邦人現地職員との集合写真

室谷次長との集合写真

室谷次長との議論の様子

地下研での集合写真


日本原子力研究開発機構 パリ事務所 所長 入江様との食事