OECDパリ本部において、OECD/NEAの会議“The Policy Briefing on Nuclear Innovation and Newly Emerging Disruptive Technologies”に参加し、国際パネリストとして原子力イノベーションについてちょっとした発表とディスカッションに参加してきました。
初日はOECD/NEAの運営や予算等に関する議論や承認案件。実は結構面白いと思いながら聴講さていただきました。普段はアカデミックな学会の参加、また学会に付属した研究専門委員会などで研究をベースにコミュニティ運営を考えることが多いのですが、今回は国際機関、特にとても実効的なOECD/NEAの動きを間近で拝見し、とても勉強になりました。
2日目は今回は破壊的イノベーションに関して、大学研究者、ある意味日本代表のような形で最近「原子力×デジタル技術=イノベーション」に関する研究を進めていて大事だなと考えている点について発表しました。まずは世界における原子力技術開発等について触れつつ、イノベーションの分類、全体的な説明があり、その後各国からの国際パネリストが4分程度ずつ準備してきた重要案件について口頭で講演し、そのあと各国からの政府代表者からの質問のにどんどん答えながら、議論を深めていくようなスタイルです。33カ国くらいが参加していたかと思います。
スライドのみの発表よりも“即応性”が求められ、初めは少し緊張しましたが、なんとか役目は果たせた、、、?私からは"Socio-Tech Orchestration"の概念とそれの達成の鍵となるデジタル技術について提案しました。最近はPublic Acceptanceではなく、Public Engagementが重要とされています。一方で社会科学と技術開発、サイエンスは十分にはつながっておらず、これを曖昧な感情や支持率などだけでは見えてこない背後の文脈をデジタル技術で読み取り、結びつけ、誰かが押しつけるのではなく、自然とStakeholderの意見が集約、Harmonizationしていったらすごいよね、という内容の発表です。事前に研究室内で喧々諤々の議論を行ったときに、Orchestrationという単語が浮かび上がってきました。
この講演の後に参加者と更に議論も深まり、いつもの技術一辺倒の議論では得られない新たな気づきがありました。また、大学にいると疎遠になってしまいますが、“ビジネス”としてのイノベーションの視点が当方には欠けていたと気がつかされました。このような貴重な機会をくださったNEAの職員の方々や関係者に感謝しつつ、得がたい経験を今後の大学生活に生かしていきたいと思います。
なお、ここのところ本当に総力戦でした。国際会議2連発(その前にソウル国立大学の先生とのミニセミナー)、その合間に福島第一原子力発電所ツアーの翻訳、そのままPhoton FactoryでXPS実験、そこからNEAの事前説明案件、造船会社見学(丸亀)、翌日に諸々議論、講義、その日の夜にパリに飛んで1泊3日、パリに着いたらそのままOECD本部について会議参加、夜はレセプションからの日本人参加者での懇親会、仮眠挟みながら発表内容の調整、翌朝パネラー登壇、昼食会、その日の夜にフライトで帰ってきて、翌週、講義からの国内学会2回分の口頭発表(インフォマティクスと、Fluent×Pythonによる抽出クロマトグラフィー計算の爆速化)。体育会系で体力を鍛えておいて本当に良かったです。
次は若手教員が海外での共研体制を構築することを支援する、「はばたけ!」プロジェクトでイギリスで温めてきた案件について連携を探ります。ゼミがオンラインで学生には申し訳ないですが、開拓してきた成果をラボにフィードバックしていきます。